本文へスキップ

西風新都のこころ皮ふ科クリニックです。皮ふ科一般の治療と皮ふ外科、レーザー治療を行っています。

電話でのご予約・お問い合わせはTEL.082-849-5477

〒731-3168
広島市安佐南区伴南1-5-18-8-303

JAK阻害剤JAK inhibitor

#2024年3月からオルミエントの適応年齢が「2歳以上のアトピー性皮膚炎」に拡大されました。
体重30kg以上では成人と同様に4mgの錠剤を1日1回内服します。
体重30kg未満の小児では2mgの錠剤を1日1回内服するようですが、錠剤が内服できない小児への対応はまだ不明です。
→小児用の細粒、シロップなどは発売されないとのことです。ですので、錠剤が内服できるようになるまで投与は困難です。投与前検査は成人と同様に必要とのことです。
ですので、現実的には錠剤が内服できる7歳以降の投与になると思います。





新しいアトピー性皮膚炎の内服薬です。

2020年12月25日にアトピー性皮膚炎の治療に新たな内服薬が追加されました。
正式には「ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤」と呼ばれる内服薬です。

アトピー性皮膚炎に適応がある内服薬としては、
2008年10月のシクロスポリン(薬品名:ネオーラル)以来、実に約12年ぶりの登場です。
最初に、オルミエント、次にリンヴォック、最後にサイバインコの順で発売されました。

とても有効な治療薬ですが、デュピクセントと同様にとても高価な薬剤です。
また、治療を受けるためには、感染症に対する事前の検査を内科などで受けて頂く必要があります。
その意味では、われわれ皮ふ科医が処方するには、デュピクセントよりも少しハードルが高い薬剤でもあります。

ただ、検査は半年に一度かかりつけの内科で受けてもらえば大丈夫です。
注射に抵抗がある方は、デュピクセントの代わりに選択してもよいかもしれません。



アトピー性皮膚炎に適応があるJAK阻害剤は3剤あります。



�@ オルミエント


15歳以上のアトピー性皮膚炎
2歳以上のアトピー性皮膚炎にも投与が可能




�A リンヴォック


12歳以上のアトピー性皮膚炎
成人では
小児でも



�B サイバインコ


12歳以上のアトピー性皮膚炎




適応が追加された順番に、 に投与できます。→令和6年(2024年)3月からとなりました。ただし、増量は認められていません。 に投与できます。効果が乏しいときには、1日2錠まで増量できます。→令和6年(2024年)9月から1日2錠まで増量できるようになりました。 に投与できます。効果が乏しいときには、1日2錠まで増量できます。

JAK阻害剤の機序について

免疫抑制剤に分類

「外用ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤」コレクチム軟膏
アトピー性皮膚炎の治療のページ

コレクチム軟膏と同じ


IL-4、IL-13、IL-5、IL-31



「JAK/STATシグナル伝達経路」








分子標的薬ですが、生物学的製剤ではなくされるようです。実は、オルミエントの適応追加の前の2020年6月にとして、が発売されました。詳しくは、をご参照ください。ですので、基本的な作用機序はです。簡略化して述べますが、アトピー性皮膚炎の発症、増悪などに関与しているなどを介した情報伝達を阻害することで、炎症メカニズムの過程をブロックすると言われています。 この情報伝達に関与するのが、といわれる経路です。オルミエントは、JAKの活性を阻害することでこの経路の情報伝達を阻害しています。その結果、炎症や皮ふのバリア機能の低下を防いでアトピー性皮膚炎を改善します。正直、正確な薬理作用は院長にもあまり理解できません。アトピー性皮膚炎の発症に関与するコアな部分をおさえていると理解して頂ければよいかと思います。

JAK阻害剤の効果について


かゆみを抑える力が強い






まだ、自身の使用経験がありませんので治験のデータでしか判断できませんが、治験のデータでは、とにかくようです。内服して翌日には劇的にかゆみが減少しています。皮疹については概ね1ヶ月で効果がピークになるようです。

JAK阻害剤の治療基準


感染症に対する検査が必要

既存の治療で効果が不十分な中等症〜重症の成人アトピー性皮膚炎患者
ステロイド外用やプロトピック軟膏外用でコントロールできている患者さんには投与できません

オルミエントは15歳未満には投与できません。また高齢者への投与は勧められていません。
リンヴォック
サイバインコ12歳以上
2歳以上の小児にも適応


多額の費用が負担できる方、あるいは何らかの補助が受けられる方
1ヶ月に約44,270円の治療費

外用治療も併用できる方


妊婦、授乳婦


感染症と腎機能低下の否定が必要です






基本はデュピクセントと同じです。さらに、JAK阻害剤を投与するためには、となります。�@つまり、。�Aとはで投与できます。2024年3月からオルミエントがになりました。ただし、小児用の細粒やシロップはありませんので、錠剤が内服できる年齢からの治療になります。65歳以上への投与には慎重を期すように記されています。�B治療費については下に正確に記載しますが、がかかります。かなり高額ですが、大企業のお勤めの方や公務員では、一定額を超えると補助がある場合が多く、職場で確認して頂くとよいかもしれません。�Cこの意図はよくわかりませんが、JAK阻害剤に頼らず外用もしっかり続けるようにと明記されています。JAK阻害剤で治療しても、いずれは外用主体の治療に移行するための伏線だと思います。�D妊婦には投与できません。授乳婦にも投与を控えるように記されています。�Eあらかじめ、血液検査、胸部レントゲン、ツベルクリン反応などで、感染症を否定する必要があります。同様に、血液検査で腎機能障害がないことを確認する必要があります。これについては、次の項で説明します。

JAK阻害剤の投与前検査

結核、B型肝炎、C型肝炎、腎機能障害

投与前検査

内科あるいは外科などで受けて頂く必要
2回/年で継続

皮ふ科開業医単独で治療を開始することができません







がないことを確認する必要があります。皮ふ科開業医でJAK阻害剤の投与が難しい点は、このにあります。皮ふ科開業医でレントゲンが撮影できる設備を持つことは一般的ではありません。例に漏れず、当院にも設備がありません。そのため、これらの検査をがあります。また、この検査はして頂く必要があります。つまり、。当院であれば、近隣の内科に検査をお願いすることになると思います。ここがデュピクセントとの大きな違いですね。なかなかハードルが高い薬剤ということになります。

JAK阻害剤の投与に対する条件


たくさんの条件

医療側
5年以上の皮膚科診療の臨床研修

当院ではこの基準をクリアしていますので、問題ありません。

患者側
ステロイド外用剤やプロトピック軟膏にて6ヶ月以上治療





  • IGAスコア が3以上
  • 全身のEASIスコア16以上,または顔面の広範囲に強い炎症を伴う皮疹を有する(目安として頭頸部のEASIスコアが2.4以上) 
  • 体表面積に占めるアトピー性皮膚炎病変の割合(%)が10%以上







投与前検査が問題ないとしても、デュピクセントと同様に投与においてはが付けられています。まず、われわれとしては、�@医師免許取得後2年の初期研修を終了した後に、を行っていること。 という条件があります。もちろん、次に、としては、�A成人アトピー性皮膚炎と診断されており、かつを行っている。(あるいは、副作用や過敏症のため、これらの外用療法が継続できない)という条件があります。でも、普通に考えると、この条件をクリアできていない患者さんにオルミエントを投与することはないと思います。そして、最後にちょっと大変な条件があります。�B次の3つの項目を判定して、一定のスコア以上である必要があります。これらのスコアは、医師が皮疹の状態を見て判定します。ですので、患者さんにはこのスコアを気にして頂く必要はありません。軽症のアトピー性皮膚炎には投与しないようにという、われわれに対する戒めだと思います。

JAK阻害剤の内服法

JAK阻害剤はどの薬剤も1日1錠、毎日内服









します。内服はいつでも大丈夫です。食前、食後のいずれでもかまいません。経過により増量できるのは、リンヴォックとサイバインコです。オルミエントの増量は認められていません。また、リンヴォックの増量は成人のみと記載されています。サイバインコは小児でも増量できるのかもしれません。(未確認ですが、添付文書上は制限はなさそうです)

JAK阻害剤の治療費

1錠が約5,000円




 オルミエント4mg  4週間 8週間  12週間 
 薬剤費総額 147,560円 295,120円  442,680円 
 3割負担の方の医療費 44,270円 88,540円  132,800円 







JAK阻害剤 です、つまり、1日5,000円を食べているようなものです。かなり高価な治療であることがわかると思います。治療費の概算ですが、最初の投与は1ヶ月分の処方になります。そのため、いずれの所得の方でも、高額療養費制度の適応には該当しません。1ヶ月内服して問題ないことが確認できれば、3ヶ月分まで投与が可能です。

こころ皮ふ科クリニックこころ皮ふ科クリニック

〒731-3168
広島市安佐南区伴南1-5-18-8-303
TEL 082-849-5477