2018年1月19日にとうとうアトピー性皮膚炎の
注射薬が承認を取得しました。
そして、同年4月23日より実際の治療が可能となりました。

針を見なくても注射できるようにペンタイプが追加になりました。
われわれ開業医でも投与できる薬剤です。効果は抜群のようです。
ただ、
誰にでも使用できる薬剤ではありません。
まず、
�@
既存の治療で効果が不十分な中等症〜重症の成人アトピー性皮膚炎患者
つまり、
ステロイド外用やプロトピック軟膏外用でコントロールできている患者さんには投与できません。さらに言うと、免疫抑制剤(ネオーラル)やナローバンドUVBを併用すれば改善する患者さんにも適応は慎重になるところだと思います。もちろん、一定の指標をクリアできれば無理ではありません。
�A
15歳未満には投与できません。
2023年9月から小児への投与が可能となりました。
生後半年から投与できます。
詳細は
デュピクセントの小児適応のページをご参照ください。
�B
多額の費用が負担できる方、あるいは何らかの補助が受けられる方
治療費については下に正確に記載しますが、当面は(自己注射ができるようになるまでは)
1ヶ月に約4万8000円くらいの治療費がかかります。かなり高額ですが、大企業のお勤めの方や公務員では、一定額を超えると補助がある場合が多く、職場で確認して頂くとよいかもしれません。
�C
月に2回の通院が可能な方→
2019年6月から自己注射が可能になりました!
当面は(自己注射ができるようになるまでは)
2週間に1回の注射が必要です。そのため、最低月に2回の通院が可能な方でなければ治療はできません。
→自己注射を選択されれば、3ヶ月に1度の通院で治療が可能です。しかし、最低2回の自己注射の指導を受けて頂く必要があります。詳しくは下の自己注射の項を参考にしてください。
�D
外用治療も併用できる方
この意図はよくわかりませんが、注射のみに頼らず外用もしっかり続けるようにと明記されています。注射で治療しても、いずれは外用主体の治療に移行するための伏線だと思います。
このような条件があります。
逆に言うと、これだけの条件を乗り越えながらでも治療する価値のある画期的な薬剤と言うこともできますね。
デュピクセントの機序について
デュピクセントの特性 https://www.dupixent.jp/property/01/
アトピー性皮膚炎の皮疹やかゆみの原因になっているものを選択的にブロックする
IL-4IL-13
Th2というリンパ球
IL-4、IL-13、IL-5、IL-31などのサイトカイン皮膚のバイア機能の低下炎症の促進
デュピクセントの効果
IL-4とIL-13をブロックする
Th2というリンパ球に分化する過程を抑制
Th2リンパ球の上流と下流でこの働きを抑制することができる薬剤
この薬剤の機序を理解するには、それなりの医学的知識が必要です。ですので、難しいことは記載しません。しっかりとした説明を読みたい方は、デュピクセントのサイトをご参照ください。動画もあります。簡単に言うと、薬剤です。具体的には、とというタンパク質の作用をブロックしています。これらのタンパク質がどのようにアトピー性皮膚炎に関わっているかというと、下の図を見てください。薬剤の説明の図をぐっと簡略化しました。アトピー性皮膚炎を引き起こす主役は、です。そのTh2リンパ球から分泌されるがや、を引き起こし、その結果アトピー性皮膚炎が発症すると考えられています。では、を下に示します。デュピクセントはサイトカインのうちことで、アトピー性皮膚炎の発症や増悪を押さえることができます。また、することもできます。すなわち、と言えます。
デュピクセントの実際の投与について
1本の注射に300mg
月に2回、つまり2週間に1度
初回のみ2本600mg
2週間に1度の受診が必要
両上腕(二の腕)、腹部、両大腿(ふともも)
デュピクセントは注射薬です。が含まれます。これを注射します。、1回を注射します。それ以降は、1回1本300mgの注射を継続します。このため、です。発売されて1年間が経過すると、自己注射が許可される可能性が高いです。そうなれば、数ヶ月に1度の受診で大丈夫になるかもしれません。注射部位は、です。
デュピクセントの投与に対する条件
たくさんの条件
医療側
5年以上の皮膚科診療の臨床研修
当院ではこの基準をクリアしていますので、問題ありません。
患者側
ステロイド外用剤やプロトピック軟膏にて6ヶ月以上治療
- IGAスコア が3以上
- 全身のEASIスコア16以上,または顔面の広範囲に強い炎症を伴う皮疹を有する(目安として頭頸部のEASIスコアが2.4以上)
- 体表面積に占めるアトピー性皮膚炎病変の割合(%)が10%以上
デュピクセントはこれまで治療に苦労した重症アトピー性皮膚炎の患者さんに一筋の光明が差す、画期的なものですが、それだけに投与においてはが付けられています。まず、われわれとしては、�@医師免許取得後2年の初期研修を終了した後に、を行っていること。
という条件があります。もちろん、次に、としては、�A成人アトピー性皮膚炎と診断されており、かつを行っている。(あるいは、副作用や過敏症のため、これらの外用療法が継続できない)という条件があります。でも、普通に考えると、この条件をクリアできていない患者さんにデュピクセントを投与することはないと思います。そして、最後にちょっと大変な条件があります。�B次の3つの項目を判定して、一定のスコア以上である必要があります。
これらのスコアは、医師が皮疹の状態を見て判定します。ですので、患者さんにはこのスコアを気にして頂く必要はありません。軽症のアトピー性皮膚炎には投与しないようにという、われわれに対する戒めだと思います。
デュピクセントの投与に注意が必要な方
喘息のある患者さん
デュピクセントを投与中にも従来の喘息の治療は継続する
�@他のアレルギー疾患を併発している患者さんこれは主にを指しているようです。デュピクセントは喘息にも効果がある薬剤です。(近い将来に喘息への適応も始まるようです。)ですので、デュピクセントを投与すると喘息も改善します。ただし、急にデュピクセントを中止したときに喘息が悪化して命に関わる可能性があります。そのため、ことが大切です。�A寄生虫感染症患者寄生虫に対する免疫を低下させるためです。現在の日本で寄生虫に感染するリスクはほとんどないため、あまり問題にならないと思います。�B妊婦、産婦、授乳婦基本的に、投与は難しいと思います。(完全には禁止されていません。)�C高齢者、小児
デュピクセントの治療費 ※2024年11月1日から薬価が改定されます。
- 健康保険は適応しています。その上でこの金額です。 (3割負担で表示しています。)
- 別途、初診料、再診料、処方せん料などがかかります。
- 2024年11月1日から減額になりました。
| 3割負担の方の負担金 |
月あたりの負担される費用(概算) |
| 初月のみ(月に3本注射) |
73,476円 → 59,720円 → 52,900円 → 48,144円
(2024年11/1から減額) |
| それ以降(月に2本注射) |
48,984円 → 39,814円→ 35,300円 → 32,096円
(2024年11/1から減額) |
一番の問題は治療にかかる費用だと思います。はっきり言ってかなり高額です。※年収により高額療養費制度の対象になることがあります。高額療養費制度の対象になる可能性があるのは、�@ 年収 370万円未満�A 住民性非課税者です。
デュピクセントの自己注射について 
自己注射が認められる
最大6バイアル(およそ3ヶ月分)まで
院内で最低2回の指導
| 指導料 |
3割負担の方の負担金 |
| 在宅自己注射指導管理料(1以外の場合)(月27回以下) |
1,860円 |
| 導入初期加算(在宅自己注射指導管理料) |
1,740円 |
利点
- 3ヶ月毎の受診で治療が継続できる。
- 年収次第では、※高額医療費の助成を受けることができる。
※高額医療費の助成
年収が約770万円より少ない方
年収370万〜770万円
6本処方
年収370万〜770万円
| デュピクセントの薬剤費 |
321,953 円 (2024年11/1から減額) |
| 薬局で支払う額(3割負担) |
96,586 円 (2024年11/1から減額) |
| 高額医療費の助成の適応後 |
その月の自己負担額 |
| 1〜3回目 |
4回目以降 |
| 82、328 円 |
44、400 円 |
96,586 円/3ヶ月=32,195円 → 82、328円/3ヶ月=27、440円
44,400円/3ヶ月=14,800円
年収370万〜770万円
高額医療費情勢適応後の負担については変更はありません。
平成31年6月から待望のようになりました。処方できます。院内では注射せず、内服薬や外用剤と同様に処方箋をお渡しします。調剤薬局に処方箋を提出し、デュピクセントを受け取って頂くことになります。自己注射をするためには、を受けて頂く必要があります。その上で、処方日には下記の指導料を負担して頂きます。(導入初期加算は自己注射開始後3ヶ月に限り算定))以上の条件が整って初めてデュピクセントを自己注射できるという流れになります。もちろん、これまで通り2週間毎に院内で注射することも可能です。どちらがよいかは、患者さんの選択になります。では、自己注射のメリットは何でしょうか?はということだと思います。欠点はないと思いますが、自分で注射することが怖いことでしょうか。1ヵ月(その月の1日〜末日)の間に医療機関の窓口で支払うべき額(自己負担額)が、一定の金額を超える場合、自己負担額を一定額(自己負担上限額)にまでおさえることができる制度です。
ではこの助成の恩恵があります。残念ながら、年収770万円以上の方では、支払額は薬剤費の3割で変わりません。具体的な金額などは、最も多いであろうで考えると、、、、デュピクセントペンタイプをするとして、(です。年収がそれより多い方には該当しません。)つまり、この年収の方であれば、院内で注射すると3ヶ月で95,586円支払うところを、3ヶ月分(6バイアル)を一度に処方すると82、328円の支払いですむということです。月当たりで考えると、と、月当たり約4,755円支払いが少なくなるという計算になります。さらに4回目からはになります。(多数回該当)これはあくまでの方での計算ですし、月によっては3回投与することもあり得るので、必ずしも計算通りにならないこともあります。一つの参考値とお考えください。※2024年11月1日から薬価が改定されましたが、 ご注意ください。
直接、皮ふに注射する方法とペンタイプを使用する方法があります。�@直接注射する方法自分で注射するときには、腹部が太ももになります。誰かに打ってもらうようなら、二の腕でも大丈夫です。いずれも簡単ですが、皮ふに針を刺すことができるかどうかがポイントですね。�Aペンタイプを用いる方法針を見ずに注射することができます。現在はほぼ全員がこのペンタイプを用いて自己注射されていますね。
Q&A よくある質問
治療はいつから可能ですか?
平成30年7月から治療を開始しました。初診の方は、まず診察して皮疹をスコア化します。投与はその次の受診時になります。
治療は受診した当日に受けられますか?
受診した当日には、初診の方ならこれまでの治療期間や治療内容を伺い、皮疹の程度をスコア化しなければなりません。その上で適応と判断されれば、投与することになります。
そのため、当面は初診時には投与できません。次の受診時からの投与になります。
また、薬剤は冷蔵庫から出した後に室温で45分以上置いておく必要があります。つまり、来院後最短でも45分は待って頂く必要があります。
何回くらい治療すれば、効果が実感できますか?
1回の注射後2週間で効果が認められます。3ヶ月経過したときには、ほとんどの症例で皮疹、そう痒ともに明らかな改善が認められます。
治療はいつまで行うのでしょうか?
新薬ですので、いつまでデュピクセントを続けるべきかについて明確な指標はありません。
基本的に、炎症とそう痒がおさまり、改善が実感できるまでは継続します。
6ヶ月を目安として、よい状態が維持できるようならデュピクセントの投与を中止できるとされています。もちろん、デュピクセントを中止後も外用剤は継続する必要があります。
もし、外用のみで皮疹がコントロールできなくなったときには、デュピクセントを再開することもできます。
治療費はクレジットカードで払うことはできますか?
クレジットカードが使用できます。高額治療ですので、遠慮なく申し出てください。